過去のお知らせ

<開催趣旨>

細胞⽣命科学や脳科学は、従来の体育学・スポーツ科学・健康科学とは距離があると考えられてきた。本シンポジウムでは、近年、急速に進展している細胞⽣命科学や脳科学を体育学・スポーツ科学が包含することによって、⾃ら実践する⾝体活動と社会システムを連続的に捉えるための「科学の基盤」の⾒直しを図る。

体育学・スポーツ科学では、主として⼈⽂・社会科学的な分野がアプローチする「社会的な意味を付与された」⾝体と、主として⾃然科学的な分野がアプローチする「細胞レベルからの構成体」としての⾝体の両⾯を取り扱う。この両⾯からのアプローチとは、いわば「いのち/⽣きること」そのものと向き合うことを意味する。この体育学・スポーツ科学・健康科学が教育において活かされる際には、単に学問的成果としての知識を習得するだけでなく、知識が⽇々の⾝体的実践に結びつくことが⽬的となる。そのために、様々な研究⽅法論によって細分化された体育学・スポーツ科学・健康科学は、教育場⾯で再統合されることを求められる。しかし、体育学・スポーツ科学・健康科学では、同⼀テーマについて複数の専⾨領域が語り合う場をつくることはできても、再統合のために必要なパラダイムを⾒出すことは、難しいとされてきた。

⼀⽅、細胞⽣命科学の世界では、ヒトなどの多細胞動物が機構的に進める物質的プロセスを「適応変化」として捉えてきた。個々には⾃律的⾃発的に⽣きる単位である「細胞」が、相互に影響することによ って、個々の細胞そのものの本質的な変化が強制されるのではなく、機構として変化する有様が「適応変化」である。この考え⽅は、実は⼈⽂・社会科学的な分野が対象とする社会的なレベルでは、体育やスポーツを通じての「⾃⼰実現」「⾃⼰と他者の尊重」という⽂脈で語られてきたのではないだろうか。 

そこで、本シンポジウムでは、教育に活かされる学問として体育学・スポーツ科学・健康科学が再統合される際のパラダイムのひとつとして「⾝体の適応変化」に着⽬したい。細胞の集合体としての物質的な⾝体から社会までを⼀貫して捉えるためには、どのような学際的視点があり得るのだろうか。この疑問について、「⾝体の適応変化」を⼿がかりにしながら、様々な専⾨領域も含めて議論する場を提供したい。

⽣命の本質である運動を⼈間に取り戻すには⾃⼰の再発⾒が鍵となる。このシンポジウムにおいて問い直そうとする「科学の基盤」は、従来の体育学・スポーツ科学・健康科学の枠を超えた新たな領域の⽣成に結びつく可能性をはらんでいるのではないか。

==================アルバムから==================

世界の女性科学者との国際共同研究・連携に向けて イギリスとノルウェーを訪問しました!


イギリスで女性研究者がキャリアアップするのは本当に大変なこと、と話してくれた

Centre for Stem Cells and Regenerative Medicine, King's College LondonでディレクターをつとめるFiona M. Watt 先生。


        

ノルウェーは世界でいちばん女性(研究者)が生きやすい国、リーダーになっても皆平等よ、と話してくれたGeMS (Geriatrics. Movement. Stroke) のグループ統括でHuman Movement Scienceを専門とする理学療法士のJorunn L. Helbostad先生。GaitRiteで歩行測定のデモをさせていただきました。

ノルウェー人はリンゴとイチゴ好き。左がJorunn先生にいただいたノルウェー産。紅玉に似ています。甘酸っぱくて美味しかった。


Norway Research Councilからグラントを獲得してコンソーシアムとして卵殻膜創傷治癒剤を開発しているオスローのバイオベンチャーBiovotec社を訪問。Nofimaの研究者も来てくださいました。ノルウェーはどこへいっても女性が元気です。さすが人権の国。



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       好評のうちに終了しました。

一般社団法人全国日本学士会は、舞根森里海研究所との共催により、2015年東京シンポジュウム 女性が描く 「いのちのふるさと海と生きる」 

開催日時:平成27年9月27日(日)13時30分~17時開催場所:東京大学農学部フードサイエンス棟1階中島ホール 

【企画の趣旨】
海は私達のいのちの究極のふるさとです。東日本大震災は甚大な被害と引き換えに、「いのち」のありようを根元的に見つめ直す機会となりました。20世紀後半に、日本は著しい経済成長を成し遂げた半面、この間、いのちの源である水を循環させる海へ理不尽な負担をかけ続け、「いのち」に関わる多くの大切なものを失くしてきました。なかでも、命がわき出る“宝の海”であった有明海を、司法も巻き込み混迷するばかりの“瀕死の海”に至らしめ、日本周辺から海辺で元気に遊び学ぶ子どもたちの姿を消し去ってしまいました。
東日本大震災が私たちにもたらした最も深刻な悲劇は、多くの人々から“ふるさと”を強制的に奪い去ったことであり、その大部分は「人災」と呼ぶべき悲劇であった点です。時代は、お金と物で動き、こころや環境(自然)を壊し続け、それらの負債を“断りなく”続く世代に丸投げしかねない無責任な「物質文明」社会を根本的に見直し、すべての“いのち”が大切にされる「環境・生命文明」社会へと踏み出せるかが大きく問われています。
硬直化した縦割りの組織と思考に縛られた社会を、より柔軟で多様性にあふれた本来の人間らしい社会に戻すには、母性の感性、知性、楽天性、行動力が不可欠と思われます。「いのちのふるさと海と生きる」をメインテーマに、7月18日に実施しました京都シンポジュウムの趣旨を引き継ぎ、いのちの巡りにより深く関わり、感性豊かな女性の皆さんが描く東京シンポジュウムを開催いたします。いのちの多様性を考える東京シンポジュウムに是非ご参加いただき、共に生きる未来への道を考えたいと思います。 

Ⅰ 趣旨説明 舞根森里海研究所所長・京都大学名誉教授 田中  克
Ⅱ 講  演(13時45分~16時30分)
講演1:三陸漁師の心意気-赤浜ロックンロール                    映画監督 小西 晴子
講演2:ふるさと-国を越えた思いを探る        東京経済大学講師コミュニケーション学部 松永 智子
講演3:いのちを知り生かす身心一体科学                                     東京農工大学工学部客員教授 跡見 順子
講演4:「森里川海プロジェクト」が時代を変える 環境省自然環境局生物多様性地球戦略企画室室長 中尾 文子
講演5:森の採譜-森と生き物たちへの賛歌                     詩人・作家 丹治 富美子
Ⅲ フロアーとの対話(質疑応答) 16時30分~17時00分

2015年東京シンポジウム 女性が描く「いのちのふるさと海と生きる」実行委員会

委員長 田中 克:舞根森里海研究所所長・京都大学名誉教授

事務局 岡田和男:一般社団法人全国日本学士会専務理事・事務局長

 素敵な女性の輪ができました!

鳥と語ることができ、森に住む詩人・丹治さんを囲んで



文京アカデミー生涯学習講座

申込方法 アカデミー文京 学習推進係 TEL 03-5803-1119

受講料:2,300円 教材費:700円

「人間の幹」を「人間の生命科学」から学び、生きる(全4回)

  人間の細胞科学、人間への進化につながる生命科学から日々のくらしや身心の健康、

  健康な社会について考えます。人間の幹を育む脳の心を育てませんか。

         講師:放送大学客員教授
            東京農工大学客員教授   跡見 順子

         会場:放送大学東京文京学習センター(丸の内線 茗荷谷下車)

2015/05/19 14:00-17:00「人間の努力」を支えるいのちの単位「細胞」とDNAを察る

2015/05/26 14:00-15:30 細胞・武道・理学療法に学ぶ体の幹(コア)と身心一体化

2015/06/09 14:00-15:30 こころの幹を平和につなげる脳の育成

2015/06/16 14:00-15:30 社会の幹・人間の幹:多様性と原点